管更生工事の技術・工法
管水路は年々老朽化が進み、修繕及び再構築の必要性が高まっています。
特に内部腐食、クラック、接合部からの漏水、湧水等の多くの問題を抱えています。
このような老朽化した管水路を更生する管更生工事では様々な技術や工法が用いられます。
中でも下記に挙げる工法は菅水路を非開削で更生可能なため、低コスト、工期短縮などの様々なメリットがあります。
スルーリング工法
本管の反転施工の場合は、反転ステージを設置し本管更生材を 水頭圧及び空気圧をもちいて反転挿入する方法と、反転機を使用し空気圧をもちいて反転挿入する方法があります。
引込施工の場合は、あらかじめ工場で引込用更生材を作製し、本管内引込挿入します。
各挿入方法で材料挿入終了後、既設管に適合するように空気圧で加圧し、更生材内の管底部に温水を循環させるとともに、浮力体式シャワーノズルにより噴射される温水により管頂部を加熱し更生材を硬化させます。

ARISライナー工法
ARISライナー工法とは適用管径75ミリ~1800ミリと、小口径管路から大口径管路まで掘り起こさず更生できるのが反転工法です。
ライニング材を管内に反転挿入した後、温水(または温水シャワーリング)で硬化させ、既設管内部にしっかりした自立管を形成します。
独自の「シャワーリング硬化方式」は勾配のある場所でも温水の使用を抑えながら確実な硬化を促します。
最大で500mまでの継ぎ目のない連続的な施工により簡便かつ迅速・確実に漏水を防止。
粗度係数の小さい効率的な管路への更生が可能です。

SWライナー工法
SWライナー工法は、硬質塩化ビニルの帯板(ストリップ)を既設管内に螺旋状に巻き立て製管し、既設管との隙間に充填材を充填することにより管きょを更生する管更生工法です。
当工法は接着剤使用のため剛性を増し強度が大きいこと、スピード施工が可能なこと、元押し施工のため作業員が中間部に入る必要がなく安全面でも有利なこと等の特徴を持っております。
当然コスト縮減にもつながっていきます。
「丈夫で・早くて・安全で・コスト縮減に貢献する」SWライナー工法です。

ターヤン工法
ターヤン工法は,既設マンホールとマンホールライニング材,結合板,充てん材が構造的に一体となって複合マンホールを形成する更生工法である。施工は,老朽化したマンホールを洗浄後,人孔内面にプライマーを塗布し形状に合わせて加工したスペーサー付結合板をマンホール壁面に取付け,その内側に熱硬化性樹脂を含浸させたマンホールライニング材をマンホールに挿入する。マンホールライニング材を空気圧により膨らませた後,温水を満水状態にて循環させ熱硬化させる。マンホールライニング材硬化後,管口とインバート部の切断を行い,既設マンホールと結合板の間に充てん材を注入しマンホールライニング材と既設マンホール内面を結合させる。

横島ホーバス工法
横島ホーバスパイプ工法とは、遠心製造の強化プラスチック複合管で高い水圧(1.0Mpa)通用可能で、水力発電、送水管、排水管と様々な管に対応します。
この工法は既設管の老朽度に関係なく高強度で耐摩耗性、耐薬品性に優れた強化プラスチック複合管による自立管きょを構築します。

塗布型ライニング工法
塗布型ライニング工法とは、主にコンクリート構造物表面の腐食や劣化に対し、機能回復と防食性の向上を目的とした工法。 耐酸性・耐アルカリ性を有し、構造物との接着性に優れたビニルエステル樹脂とグラスファイバーを構造物に塗布するライニング工法です。

サンダーバード工法
サンダーバード工法とは、上水道・工業用水分野の圧力パイプラインの修復工法であり、ISO規格11295において、工法分類されている現場硬化管でのライニング及び接着剤塗布ホースでのライニングに対応出来る工法です。
現場硬化管でのライニング(以下CIPPという)は、管状の樹脂含浸チューブを管内に挿入(反転・引き込み)させ、加圧し管壁に張り付けた状態で硬化させパイプの中にパイプを作ることを目的とします。
後者の接着材塗布ホースでのライニング(以下ホースライニングという)は、接着材を塗布したホースを管内に反転挿入させ、ホースを管壁に接着させることを目的とします。

管更生工事とは
管更生工事とは、配管工事の一種です。私たちが生活している地面には下水・上水・排水管などが埋設されていますが、下水・上水・排水管などは経年による老朽化、あるいは地震といった災害などによって漏水や破損、腐食などさまざまな問題が生じてきます。これらをそのままにしてしまうと、たとえば、下水道管が詰まって下水が逆流する、破損によって下水が地上に吹き出してしまうなど、より大きな問題へと発展してしまいます。あるいは、下水道管に穴が開くなどし、地下水が流れ込んでしまえば下水処理場の処理能力を超えてしまい、混乱をきたす恐れもあります。そこで、問題のある下水・上水・排水管などをさまざまな方法で修復する工事が必要となる訳です。そして、その工事が管更生工事と呼ばれるものです。上水道管や、マンション、ビルの給排水管といったものから下水道まで、さまざまな配管工事で管更生工事が行われています。
管更生工事と管更新工事の違いやそれぞれのメリット・デメリット
管更生工事と似た言葉で管更新工事があります。字面である程度想像がつくと思いますが、管更新工事は給排水管や下水道管そのものを更新、つまり新しいものに取り替える工事を指します。一方の管更生工事は、古くなった給排水管や下水道管に手を加えて、給排水管や下水道管を元の良い状態に戻す、給排水管や下水道管として問題なく機能できる状態に修復する、といった工事になります。そして、下水・上水・排水管などの管更生工事と管更新工事にはそれぞれ、メリット・デメリットがあります。下水・上水・排水管など管更生工事は短期間・リーズナブル・騒音などが少ないといったメリットがある反面、衛生面で不安が残ったり、管更生工事をしても10年程度しか延命できなかったり(その後は管更新工事)、すでに老朽化している下水道管などには向かないといったデメリットがあります。一方の管更新工事は、新品に取り替えるため漏水や衛生面での心配がなくなる、耐久性が延びるといったメリットがある反面、費用が高額になったり、騒音や振動が出たり、工期が長くなったりするデメリットがあります。それぞれを加味しながら、最適な方法が選択されているというわけですが、一般的には、管更生工事では修復不可能な場合、または不可能ではないが十分な成果が得られないと考えられる場合などに、管更新工事が行われるケースが多いようです。出展:下水道管の更生工事とは?種類や工法をご紹介!
管更生工事の必要性
なぜ管更生工事が必要なのでしょうか?その理由は、工業用水や農業用水、下水管などが経年劣化や外的要因により損傷しやすくなるためです。その影響として、まず考えられるのが漏水です。工業用水や農業用水、下水管などの劣化による漏水は、道路や地下室の浸水を引き起こし、周囲の住環境に大きな被害をもたらします。特に雨が多い季節には、漏水が原因で水が逆流し、衛生問題が深刻化することもあります。また、工業用水や農業用水、下水管が破損すると、地下にある水が地面に漏れ出し、土壌や地下水を汚染するリスクもあります。このような環境汚染は健康被害を引き起こし、地域全体に悪影響を及ぼす可能性が高いです。さらに、地震や自然災害によっても工業用水や農業用水、下水管は損傷することがあります。こうした状況でも、迅速に復旧作業を行うためには、管更生工事の技術が不可欠です。管更生工事を行うことで、これらの問題を未然に防ぐことができます。新しい管を内側に形成することで、漏水を防ぎ、工業用水や農業用水、下水システムの機能を回復させることができます。また、工事の影響を最低限に抑えて迅速に対応できるため、地域住民の生活への影響を最小限にとどめることが可能です。さらに、管更生工事はコスト面でも非常に効率的です。通常の更新工事に比べて、工期が短く済み、費用も抑えることができます。古い管を取り壊す手間が省けるため、その分のコストを削減できるのです。このように、管更生工事は経済的なメリットも大きく、インフラ維持のための有効な手段となります。
管更生工事のメリット
管更生工事には、多くの利点があります。まず、工期が短く済むことが大きなメリットです。地面を大きく掘り起こす必要がないため、施工がスムーズに進みます。その結果、工事期間が短縮され、周囲の住民や交通への影響を最小限に抑えることができます。これにより、日常生活における不便を軽減できます。次に、環境への影響が少ない点も挙げられます。従来の更新工事では、大規模な掘削作業が必要であり、その際に周囲の景観が損なわれたり、騒音や振動が発生したりします。しかし、管更生工事では、そうした掘削作業が不要なため、環境への負荷が極めて少ないです。また、管更生工事はコスト面でも大きな利点があります。更新工事に比べて、管更生工事の方が費用を抑えることができます。これは、掘削作業の手間が省けることや、既存の管を利用することで材料費が抑えられるためです。結果として、経済的に効率的な工事が実現します。さらに、管更生工事は耐久性の向上という点も見逃せません。管更生工事によって形成される新しい管は、非常に高い耐久性を持っています。これにより、将来的な漏水や破損のリスクが大幅に軽減されます。また、それに伴ってメンテナンスの頻度を減らすことができるため、長期的に見てもコストパフォーマンスが優れています。最後に、管更生工事は非常に対応力が高い点も特筆すべきです。さまざまな工法が存在し、それぞれ異なる状況に対応できるため、どんな下水管でも適切な方法を選択して対応することができます。これにより、老朽化が進行する前に早期の修復が可能となり、下水道システムの健全性を保つことができます。出展:管更生工事とは?安心・安全な下水道を守る工事の基礎知識
管更生工事業者選定のポイント
・工業用水・農業用水・下水管更生工事業者選びのチェックポイント1:調査と工事を一貫して行っている管更生工事業者
工業用水・農業用水・下水管内部の劣化状況は外部からはわからないため、管内部の入念な調査と、調査結果に基づいた適切な管更生工事を行わなければ十分な効果は得られません。この調査+管更生工事を社内で一貫して行っている管更生工事業者であれば、劣化状況に合わせた適切な管更生工事を提案してくれるため、無駄なコストや工期、再打ち合わせの手間などが省けます。
・工業用水・農業用水・下水管更生工事業者選びのチェックポイント2:管更生工事・管更新工事、両方に対応している管工事業者
工業用水・農業用水・下水管の汚れを除去して管をコーティングする管更生工事と、排水管自体を取り替える管更新工事では、かかるコストが大きく異なります。管更生工事と管更新工事のどちらの工事にも対応していて、管の状態に合わせて管工事を提案してくれる管工事業者を選びましょう。工業用水・農業用水・下水管の劣化状態に合わせて適切な管工事を選ばないと、すぐに大規模な修繕工事が必要になったり、まだ使えるのに交換することでコストがかかってしまったりと、無駄が発生してしまいます。
・工業用水・農業用水・下水管更生工事業者選びのチェックポイント3:情報を開示している管工事業者
工業用水・農業用水・下水管更生工事の内容、費用、期間、手順など、管更生工事についての情報をできるだけ開示している管工事業者を選びましょう。専門的な工事であることを逆手にとって詳細情報を一切開示せず、見積もりや工事の段階になって「追加費用が発生します」と申告し、依頼主が翻弄されてしまうというケースがあります。
・工業用水・農業用水・下水管更生工事業者選びのチェックポイント4:住民説明会などへの協力がある管工事業者
工業用水・農業用水・下水管更生工事でもっとも気を遣うのが居住者様への案内やクレームの回避です。できるだけ迷惑をかけることなく、かつ管工事に協力してもらうためには、十分な説明と行き届いたコミュニケーションが必要不可欠です。住民説明会での説明や案内チラシの作成などに協力してくれる、ホスピタリティのある管工事業者が理想的です。
工業用水・農業用水・下水管の適切な管更生工事時期
工業用水・農業用水・下水管の寿命は排水される水質や既設管の材質に大きく左右されるため、管更生工事のタイミングは既設管の材質によって異なります。また、工業用水・農業用水・下水管によって必要な管更生工事が変わってくるため、工業用水・農業用水・下水管の劣化状況を定期的に確認できれば理想的です。工業用水・農業用水・下水管は給水管に比べ劣化の進行が早いです。ほんの数年の放置が管更生作業時間や、管更生工事金額などに大きく影響を及ぼすことがあるため、早めの管更生工事と定期的な確認・メンテナンスが重要です。数年間放置すると工業用水・農業用水・下水管内の閉塞率が10%→50%になる、工事費が倍近くになる、などのような問題点が出てきます。出展:排水管更生工事、業者選定のポイントや工事時期、CSC、抗菌マークSIAAについてご紹介します。
管路更生工法の現状ついて
米国や中国の橋梁破損事故など公共施設がらみの事故が世界各国で頻発しています。国内においても公共施設に関係する事故は後を絶ちません。特に、下水道管の破損による道路陥没事故が急増しており国民の安全・安心のための施策が急がれています。下水道管の破損のその主たる原因は、高度経済成長期に集中的に整備された社会資本の耐用年数が近づいていることにあるとして、国土交通省は公共施設の安全性の確保と、ライフサイクルコストの縮減等を目指した「事前予防型の公共事業」への方針転換を打ち出しました。また、方針転換を促すための補助制度の見直しを進めていくとのことです。「造ることばかり考えていた」公共事業から「維持管理重視」の総合的な公共事業への転換と補助制度の見直しは、財政難に苦しむ地方自治体にとっても朗報であり、老朽管対策にも弾みがつくものと期待されています。現在、日本における管路施設は下水道や上水道、工業用水、農業用水その他多くの分野で活用されており、これらの管路総延長は、おおよそ 180万キロメート程度と推計されています。しかし、経年的な劣化などにより老朽化が進行し、管路としての流下機能の低下や道路陥没の原因になるなど様々な障害が顕著になってきているのが実情です。一般的に、管路の材料はコンクリートや合成樹脂、鋳鉄等であり、その耐用年数は 50年程度とされていますが、老朽化の進行度は材質や埋設環境、維持管理等により大きく異なります。このため、それぞれの管理者は、的確な維持管理を行い管路の延命化を図る一方、維持補修だけでは対応しきれないほど老朽化した管路については、改築・更新を進めています。改築・更新の方法には、新たに造り直す「新設」と既設管を活用し更生する「管路更生工法」がありますが、「管路更生工法」が注目され、事業量は年々増加しています。このように、管路更生工法が急速に伸びた理由は、「新設」に比べ掘削をせずに管路の更新ができ、経済的で工期も短く、工事公害の防止や省資源化の面からも効果的であるためであります。このため、管路更生工法は多くの工法が海外から技術導入される一方、我国においても独自の工法技術が数多く開発され実用化が進められてきました。ちなみに、日本において現在、公的第三者機関の認定を受けた人孔間の管路更生工法は 22工法となっています。出展:「管路更生工法の現状と将来展望」